4/29 (金)21:18~

ガイナックス武田康廣スペシャルセミナー(後編)

※体験授業もセットで受講できます。

■後編

2011年4月29日「神戸電子専門学校」エントランスホールにて

神戸電子専門学校を会場にしてのACF(アジアコンテンツフェスティバルin神戸)ゴールデンウィークスペシャルの初日に行われた、武田康廣さんのスペシャルセミナーのレポート。今回は後編です。

●ネタを仕事に変えるために

武田:ガイナックスはご存知の通り、アニメはもちろん作っていますが、その他に、吉祥寺でBARも経営しています。シューティングバーといって、エアガンを撃って楽しめるバーです。私は、海外に行った時はわざわざ銃を撃ちに行くくらいの銃好きなのですが、単に好きだからバーをやっている、というわけではないんですよ。

武田:単なるシューティングバーだったら他にもある。マニアが好きなだけで終わってしまうようなバーならガイナックスがやる意味がない。その場所を使って何ができるのか?発展性があるかどうか?それが面白いかどうか?それを考えてやっています。

武田:まず、単に射撃出来るレーンがあるだけでなく、外国の刑事物のテレビドラマに出て来るような、かなりリアルなものにしたかった。ガラス張りで、ドラマの1シーンになるような雰囲気でバーを作りました。そこを舞台にしたアニメや短編ムービーもいま企画しています。

武田:これは、お金だけの問題じゃない。お金が入れば成功、という事もありますが、お金を得られるくらい「面白いもの」を作れて本当の成功なんです。場所を作り、その先に何があるのか?どういった商品が出来るのか?その面白さで、どうやって儲かるか?そこを考えるのが大事です。

●仕事のネタのつかみ方

武田:夜は、シューティングバーのカウンターで仕事をしている事も多いのですが、そうするとお客さんが来る。その時は銃のソムリエをやりますよ。お客さんからどんなエアガンが撃ちたいかお話を聞いたり、楽しんでもらうために、。お客さんと銃にまつわるお話もします。銃というものには背景がありますから、いつ、どんな理由で作られたのか?そんな話をしていると、エアガンの話から、いつのまにか、近代史の話になっていたりします。

武田:オタク的な話でもいいので、対話で話を掘って行く事で、調べモノをしたりすると、仕事のネタが繋がって来る。あ、このネタ使えるなという創造力が働くのんです。

武田:今、考えている新企画のテーマの一つに、フリーダイビングがあります。器材を付けないで、素潜りで果たして何m海にもぐれるか?というのがフリーダイビングなんですが、これをネタにしようと思っています。会社の近所のダイビングショップに、53歳のダイバーがいるのんで、その人の話を聞いたりしていると、あ、使えるな、と思う訳です(笑)。

武田:その人と話をしていたら、フリーダイビングの世界大会がエジプトのリゾート地で開催される、という事を知るんですよ。知ったら、今度はそこに付いていくわけです、。エジプトまで。

武田:移動の際に、せっかくだから、空港からは砂漠を横断して行こうという事になったんです。砂漠は昼間は暑いのですが、夜はかなり寒い。前から話は聞いていたけど、昼間に毛布を渡された時には「こんなものがいるのか?」と思うのですが、夜になると毛布1枚ではとても足りないくらい寒い!そういう体験が実際にあるのです。

武田:また、エジプトのリゾート地に向かう夜の道沿いには銃を持った警備員がいるんですよ。リゾート地なのに、ですよ。いつ、テロリストが襲って来るかもわからないから。日本と違って、エジプトには危険があるわけです。また体験です。

武田:今度は、ピラミッドに行くと、ピラミッドのすぐ横に、ゴルフ場があるんですよ。観光バスの駐車場もあるし、すぐ近くまで地下鉄で行けます。これは驚きました。スフィンクスの目の前には、ケンタッキーとドミノピザがある。テレビ番組で聞いた事はあったけれど実際に体験すると驚きます。人によってエジプトへ行ったなりの体験がある。これは一方的な気まぐれな判断での海外旅行ではないんです。そういう生の経験を通してネタが増えて行く訳です。

●失敗が大事。失敗が個性。

武田:失敗も同じ事。実際に何度も失敗してみないと何もわからないです。自分の作品だったら失敗してもいいんです。言われてやって失敗するより、自分で考えて失敗した事だから経験になります。先生や、大人に言われた事だけをやっていたんじゃダメなんです。少なくともぼくは20代前半から現在にいたるまで、そういうやり方をしてきました。

武田:後悔もたくさんしてきました。これまでに後悔しなかった事は無いです。毎日のご飯の選択にしたってそう。ポークカレーにするのか、カツカレーにするのか?今、話しをしている内容だってきっと後で後悔する(笑)でも、それが大事だと思っています。

武田:なんの後悔もなく人生を突き進んでいる人って、やっぱり付き合いづらいですよ。そういう完璧なやつとは、関係がもたれへん。けど、自分と同じように失敗している人とは関係が持てる。僕は人の名前も顔も忘れっぽい。だけど、何か関係が持てた瞬間に名前も顔も覚えられるでしょう?

武田:失敗をしている人、カンペキでない人のほうが人として個性があります。失敗した時のうろたえ方が個性ですよ。うろたえる姿が、その人の原点かな、と思います。自分で「しもた!」と思った時に、自分のうろたえ方を見る冷静な自分を持つ事。そうすると、自分や周りがよりクリアーに見えて来ると思います。

[プロフィール]
武田康廣(たけだ やすひろ)

1957年(昭和32年)9月12日、大阪・泉州忠岡町に生まれる。

近畿大学原子炉工学科に在籍中に所属したSF研究会をきっかけにSFファンダム活動を始める。
初めて参加したSF大会に触発されて、学生時代よりSF大会等のイベントを企画・開催する。
山賀博之を中心に、映画「王立宇宙軍~オネアミスの翼~」を制作する為に1984年ガイナックスを設立。(発起人、取締役として参加。)
ガイナックス制作のアニメ・ゲームを中心に、プロデューサーとして携わった作品多数。

現在は、ガイナックス取締役・アニメーション製作本部長、京都コンピュータ学院・京都情報大学院大学教授として活躍中。

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