「プログラミング女子」という言葉をご存じですか? 近年、コンピュータソフトのプログラミングを学ぶ女性がどんどん増えています。
そして、プログラミングを学ぶ女性のための学びの場も、どんどん生まれています。たとえばフィンランドから発足した「レイルズガールズ」は、女性を対象にプログラミングを教える無料のワークショップ。フィンランドの社会運動の一環として生まれ、インターネットを通じて世界中に広がり、これまでに世界各国約230もの都市で開催されてきました。なんと累計で1万人以上の女性が、このワークショップでプログラミングを学んだそうです。
ほかにも、「プログラミングは女の子の武器になる」をコンセプトに、女子中学生・高校生を対象としたITワークショップ「code girls」というものもあります。こちらはGoogleやIBM、Microsoft、国内最大の料理レシピサイトcookpadなどがサポートしており、世界的な注目を集めていることがわかります。
そこで今回、神戸電子で学ぶ「プログラミング女子」と、少し話をしてみました。彼女は、情報処理技術の上級試験である「ネットワークスペシャリスト」の資格を在学中に取得したツワモノです。
――:それでは、自己紹介をお願いします。
小湯原沙紀さん(以下、小湯原):ITスペシャリスト学科3年生の小湯原です。出身は鳥取県の県立青谷高校です。
――:難易度が高い「ネットワークスペシャリスト」ですが、受験してみてどんなことを感じましたか?
小湯原:そうですね。「ネットワークスペシャリスト」はシステムエンジニアのなかでもネットワークの担当設計者や、管理者をターゲットにしているので、より専門的な知識が必要となり、難易度は高かったです(笑)。1年生の時に基本情報技術者を、2年生の春に応用情報技術者の資格を取得し、2年生の秋に満を持して挑戦しました。合格できて本当にうれしいです。
――:小湯原さんが受験された時の試験では、兵庫県下の専門学校生で合格されたのは小湯原さんたったひとりだったとか。企業のエンジニアにとっても難度の高い資格を在学中に取得、素晴らしいですね。
小湯原:ありがとうございます。コツコツと勉強してきた甲斐がありました(笑)。
――:話を変えて、小湯原さんが、神戸電子を選んだ理由を教えてください。
小湯原:高校に入った時から、パソコンに関わる仕事がしたいと思っていたんです。高校卒業後の進学先を探していた時に、折よく神戸電子の学校説明会が高校であり、そこで興味を持ちました。
――:なるほど。高校の時はなにか、神戸電子で学ぶきっかけになるようなことはされていましたか?
小湯原:独学でC言語を勉強してました。今見ればものすごく簡単なつくりだったんですけど、自分の構築した通りにモノが動くっていうのに感動したのを覚えています。
――:小湯原さんの世代でもC言語なんですね。とっつきやすい HTML・CSSやjavascript、PHPなどのWeb言語あたりからかと思っていました。
小湯原:そうですね。HTMLも少し触っていたんですが、C言語を選んだのは学校の図書館に参考になる本が置いてあったからですね。
――:便利なアプリに囲まれている今、自分でプログラムをつくって走らせてやろう! って思う人は少ないと思っていました。小湯原さんがプログラミングを学ぶにあたり、何がきっかけとなりました?
小湯原:もともとモノをつくることが好きだったんですね。しいてきっかけをあげるとするなら、中学生の頃にパソコンを買ってもらったことでしょうか。一目見た時から、この箱のなかで動くモノをつくりたいと思ったんです。
――:高校で説明会があったということですが、そこで何か心を動かすようなことはありましたか?
小湯原:高校生を対象にパズルゲームをつくるワークショップをされていたので、そこに参加しました。
――:それをつくってみて、やっぱり面白かった?
小湯原:はい。当時の自分では、ひとりでゲームをつくることができなかったので、すごくよい経験になりました。
――:高校でC言語の本を見つけ独学し、実際にプログラミングも行った。神戸電子のITスペシャリスト学科に入学してきたということは、高校の経験をもとにIT技術を仕事にしようと決めて入ってきた訳ですよね。入学時に、なにか具体的なイメージはありましたか?
小湯原:最初はシステムエンジニアを目指していたんですが、今はネットワークの方に興味があります。入学するまではコンピューター関係の仕事って、システムエンジニアの事だとばかり思っていたんです。要はコンピューター関係の仕事にどんなものがあるか、わかっていなかったんですね。入学後、プログラミングの勉強や、友人たちと話すうちに、自分がITに貢献できる仕事は何か、ちょっとしたビジョンを持てるようになりました。
――:ビジョン!いいですね。ビジョンって何ですかと聞いた際、なかなか説明できる人は少ないんですね。英語で書くと「VISION」。視界や映像という意味です。自分が向かう先の目標を達成した姿を先取りして映像化したのがビジョンだと思います。小湯原さんはどのようなビジョンを持っていますか?
小湯原:ネットワークに携わることを考えていますね。ただ触っているだけではなく、技術者としてきちんと働ける存在でいたいです。
――:ネットワーク技術者として、会社の同僚から「ネットワークなら小湯原だ」、クライアントから「御社の小湯原さんにお願いしたい」と言われるような?
小湯原:はい。そうなりたいと思っています。
――:なるほど。取得した資格にもその意志がよく現れていますね。あと、前半最後の項目として、小湯原さんから、専攻しているITスペシャリスト学科について説明してもらえますか。
小湯原:IT業界のプロとして働くことを目標にすえた学科です。プログラミングの知識がない初心者でも大丈夫なように、基礎から学べるカリキュラムが組まれていると思いますね。実際に私も、本を読んでいるだけでは理解できないことがあったんですけど、そのあたりを先生に教えていただけるので、より深く理解できるようになりました。年間を通して、授業ではいろんな言語を学ぶことができます。3年生になってからは、言語だけじゃなく、システムの設計や、プロジェクトの管理方法も学びます。仕様が決められたものをつくることもできるし、世の中の課題、自分が実現したいことの仕様を1からつくって実装したり、プログラムをつかって実現したりすることもできる。実践的な部分まで、きっちり学びの時間が設けられています。
――:小湯原さんは、仕様が決められたものをプログラムとして実装することと、それとも自分が実現したいことを形にしていくこと、どちらが得意ですか?
小湯原:どちらかというと、決められた仕様に添ってのほうですね。
――:そのかわり、どんな仕様でもどんとこいと(笑)。ネットワークにも強いので、ネットワークが織り込まれたシステム、ソフトウェアもどんと来いと!
小湯原:そうですね! できうる限り、努力します(笑)
さて、今回の学生対談はここまで。全体で2回にわたって配信します。
次回は、「Digital Works」での制作物や、就職先、将来の展望について語っていただきます。