未来のネットワークをつくる 神戸電子の「プログラミング女子」 後編

2015.8.12

CATEGORIES:国内 ,学校・教育

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前回に引き続き、神戸電子の「プログラミング女子」、小湯原沙紀さんとの対談の様子をお届けします。後編では、小湯原さんが昨年度末にIT分野の優秀作品発表会「Digital Works」で制作した、テキスト共有システムについて、また就職などについて話した内容を紹介します。

――:演習で「Raspberry Pi」を使用した、テキスト共有システムを制作したと聞いています。どんなものか簡単に説明してもらえますか?

小湯原沙紀さん(以下、小湯原):「Raspberry Pi」は、手のひらサイズのコンピューターで、ディスプレイやキーボードは外付けになります。小さいのによく働いてくれる、なかなかに可愛いやつです。

――:なぜそれを選びましたか?

小湯原:安いからです(笑)。価格が安価で、手軽にサーバーとして使えるので。ちゃんとネットワークにも繋がります。演習では、「Raspberry Pi」を使って、文章をウェブ上で共有するシステムをつくりました。巷で有名なものでは「evernote」なんかが近いかもしれませんね。

――:文章共有システム、どうしてそれをつくろうと思ったのですか?

小湯原:何をつくろうか仲間内で話しているときに、文章の共有システムが欲しい、という話が出ました。テキストエディタを元にすれば便利なものになるではないかと。みんなでそう話がまとまり、制作することが決まりました。

――:なるほど。ひとりではなく、チームで制作したんですね。

児湯原:そうですね。「Digital Works」のためのチームです。女子5人、男子2人の計7人で制作しました。クラスの男女比が約10:1なので、クラスの女子がかなり集まったチームになりました(笑)。

――:まさに「プログラミング女子」が集まったチームだったんですね。制作するなかでの苦労話はありますか?

小湯原:グラフィックの話になるんですけど、JavaのGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)には「Swing」と「JavaFX」、ふたつのアプリケーションがあります。今回「JavaFX」の方をはじめて使ったんですね。結構勝手が違って、製作中はみんなで格闘しました。「JavaFX」はXMLの言語を書けるようになっているんです。XMLはインターネット上でさまざまなデータを扱う場合に利点を発揮する言語なんですけど、仕様をXMLにひとつひとつ変更しないといけない部分があって。そのあたりは苦労しました。

――:話の中身が完全にプログラム女子です。(笑)製作期間はどれくらいかかりましたか?

小湯原:だいたい3〜4ヶ月でしょうか。何をつくるかは早くに決まっていたんですが、メンバー各々の国家試験のタイミングなどが重なって、着手が遅かったんです……(笑)。

――:なるほど。「Digital Works」での結果はいかがでしたか。

小湯原:えーっと……受賞はできませんでした(笑)。

――:えー! そうだった!?(笑)

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――:さて話を変えて、就職先のこともお聞きしましょう。小湯原さんの就職先について教えていただけますか。

小湯原:はい。エスアイエス・テクノサービス株式会社という会社です。就職活動をはじめたのは確か今年の2月くらいになってからで、就職がきまったのは5月の頭です。

――:実際、合格をもらってどういった気持ちでしたか。

小湯原:最初は信じられませんでしたね。それまで、ずっと面接練習をしてこなくて。2月の終わり頃にキャリアセンターの先生に相談しました。3月の間はずっと、Web系の会社にインターンをしていたんです。そこではPHPを勉強していて。なので、本格的に動きはじめたのは4月になってからという……。

――:インターン先に就職しようとは思わなかった? やっぱりネットワーク?

小湯原:やっぱりネットワークの方が楽しいかな、と。

――:なるほど。将来なにがしたいか、という話はすでにお聞きしました。ネットワークで評価されるエンジニアになりたいと。そこで、インターネットの可能性、ネットワークのひとつですけれども、なにか展望や予測はありますか? インターネットっていうのは今後こうなるんじゃないか、もしくはこうしていきたい……とか。

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小湯原:ずっと思っていることがひとつあって。インターネットは「物理的な距離が生む不利」を、どんどんなくしてくれるんじゃないかと考えています。私の地元はかなりの田舎なので、ものすごく不便で、閉ざされた環境でした。それが中学のときにパソコンを買ってもらって、インターネットに繋いだことで、世界がすごく広がった感じがしまして。

――:鳥取の北部から進学してきたんですよね。

小湯原:はい。実家は、電車や汽車の時刻を調べてからじゃないとまともに動けないぐらいの田舎なんですけど(笑)。今までは人が集約する場所に、サービスや情報の集積が限定されていました。けどインターネットの広がりで、都市から遠くに住んでいる人が受け取れきれなかった情報を、今後はもっと受け取れるようになるんではないかと考えています。……とはいえ、まだまだ集積地の情報密度は高いんですが。

――:その人から刺激を受けるというよりは、人が多いと市場が大きいので、いろんなサービスが早く来ますからね。神戸市も、人口が多いので。人が多いと、それによって生まれる出会いが多い……とかね。神戸に進学、神戸電子に来た時の印象はいかがですか?

小湯原:そうですね。「変な人が多いな」って思ってました(笑)。

――:(笑)。それはいい意味で? それとも、おや? っていう。どっちでしょう。

小湯原:いい意味で変わり者が多いなと。高校の時は、私もわりと変な人扱いされてたんですけど。神戸電子に来たら変人扱いされないので、調子に乗ってどんどん変な方向にいってる気がします(笑)。

――:特別な技能習得を志としているからでしょうか(笑)。その人たちと集まることで得られたものはありますか。

小湯原:やっぱり、わからないことを聞ける人が近くにいるっていうのは大きいと思います。私の地元ではパソコンに詳しい人が全然いなかったので、全部自分でやっていくしかなくて。それが神戸電子だと、みんなパソコンが好きで学校に来ているので、ちょっとしたことだったら周囲の人に聞けばいい。

――:問題を共有できる存在は大切ですね。さきほど、女子はクラスの1/10と仰ってましたが、プログラミングとなると、男子社会っていうイメージが世の中にあるかもしれないんだけど。そういうことは感じてないですか?

小湯原:やはり少し、女子はプログラミングが苦手な人が多いかな、って感じはしますね。ただ、できる人は女子でもすごくできるので。そのあたりはあんまり関係ないかなと思います。プログラミングはやっぱり敷居が高いんですけど、ちゃんとやればやるほど、自分で「ここもこうしたらできるんじゃないか?」と思いつきやすくなるし、時間がかかっても、どこかで絶対にひらめくことがあります。なので、難しいと思っても諦めずに……。あまり苦行だと思わないでやるのがいいと思いますね。

――:なるほど。今のいいですね。ひらめくことがある、っていい言葉ですね。敷居などは気にせず、まずは「好き」の気持ちを大切にしてほしいですね。小湯原さん、今日は長い時間のお話、どうもありがとうございました!

小湯原:ありがとうございました。

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