神戸の中心地三宮を南北に走るフラワーロードの一本西側、通称 ”YMCA通り” にある食堂 ”味加味”。昼の定食から夜の一品までメニューが豊富。神戸電子からも近く、何を食べても美味しいので良く通います。関東の醤油文化に対し、関西は断然出汁文化。その出汁をとことん楽しませてくれるお店です。
オーナーの垣谷定道さん、出汁を作らせたらの専門職業人として敬服しています。加えて、神戸、音楽、イベント、車がお好きとなると、仲良くならない訳が有りません。色々な話をしましたが、最も印象深かったのは、去年の春にお聞きしたお店誕生の経緯。数多い味加味ファンの為に思い出せるだけ紹介します。
それは「長いストーリーやで」で始まりました。
1945年神戸生まれ。
最初の仕事は日本モービル石油の米国子会社。米国カリフォルニア州サンタモニカ市に勤務。
とにかく食べるのが好きでカナダ、アメリカ、メキシコ、ジャマイカ、香港、台湾と巡り「よー遊んだ」。
その後実家が経営する垣谷商店へ入社。戦前の財閥、鈴木商店の香港支店長を勤め、商品調達にあたっておられたお父様が、終戦後に興された商社であった。
営業職務としての接待が度を超し、当時2000万円以上の借金を作り、無一文となる。
家族を路頭に迷わすわけにいかずと奮起した4年間の運送業で事業資金を貯め、うどん屋味加味を譲り受ける。
うどんの出汁の作り方を教わったのは開店の1週間前。畑違いのスタートであった。
営業を続けながら何かが違うと感じ、街の食堂や、市場の魚屋さん、フランス料理店、イタリア料理店の店主らに教えを請うた。基礎を効果的に教えて頂けた。良い師匠との出会いと、神戸の食の豊富さにも感謝。
ものづくりの自由さ、柔軟さ、ものへのこだわり、型に収まってしまうと面白くなくなる。
発想の違いを追い求め、出て来た瞬間のサプライズ、驚きが大切。
メニューの多さ、ボリュームの多さ、サプライズの内の一つ。充分な材料費をかけて、充分な量を出して、充分に食べて頂く。
量が多すぎるんやったら、それはそれで交渉してもらえれば、これも大事なコミュニケーション。
帰りしに言ってもらえる「美味しかった」が何よりもの評価。
普段定職を食べに来るお客さんが家族を連れて来てくれるたときが一番嬉しい。
学生(定食)→ 働く(ビール)→ 家族(一品)
「お客さんは育てるもの」
韓国のグルメ雑誌に『神戸で絶対に行くべき店』として6ページの特集で店やメニュー群が掲載されているそうです。うちやYMCAさんに通っていた留学生の仕業かもしれませんね。
音楽好き、ジャンルを問わない。音楽が流れている風景、音楽を構成する音が好き。これが昂じて、週末の味加味ではJAZZライブが行われる事も。
2010.6.11【美食で埋まった窪地、神戸フィエスタフォトレポ その2】でも紹介しましたが、垣谷さんが作りだした食と音楽の祭典、神戸フィエスタ、今年も楽しみです。