東京ゲームショウで再会した「夢のゲーム」

2014.12.19

CATEGORIES:国内 ,学校・教育

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千葉の幕張メッセで開催された「東京ゲームショウ」が今年も大好評のうちに幕を閉じました。総入場者数は25万人超! 今年は国内外から421の企業や団体が参加し、過去最高の出展数だとか。世界中でプレイされているコンピューターゲームの一大祭典が、この日本で開催されているのは誇らしいことです。

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著名ゲーム企業が多数ブースを連ねるなか、神戸電子の学生たちもブースを出展しました。教育機関のなかでもいち早く東京ゲームショウに参加し、今年で16年連続の出展になります。
ブースでは、PC7台とNexus 7を1台使い、学生たちが制作したゲームを紹介しました。実際にプレイすることもでき、多くの来場者が訪れてくれました。ありがたいことです。

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かつて私もゲームソフト会社で働いていた経験があるので分かるのですが、自分たちが思いを込めてつくったゲームも世に送り出した途端、自分の手を離れていきます。たとえば、ユーザーがどんな風にプレイしているのか、どんな表情で画面に向き合っているのか……それを確かめる機会は意外と少なかったりするものです。
ゲームショウは、自分たちがつくったゲームをユーザーがプレイする、それをリアムタイムで見ることができる貴重な場です。ものづくりにおいて、「使い手」の顔を近くに想像できる人は、優秀な「作り手」になります。ゲームソフトを制作し、出展し、ユーザーの反応にじかに触れることができるこの体験は、学生たちにとって大きな財産になるでしょう。来年も楽しみです。
さて、僕はゲーム会社で働いていたと前段でも説明しましたが、かつて構想していたゲームのコンセプトが今年、スマホゲームとして発表されました。そのゲームが「東京ゲームショウ」に出展していたので、少しこれにも触れておこうと思います。
だいぶ昔の話になりますが、僕は専門学校と大学の両方を経験しました。当時あった神戸電子の夜間部で学んだプログラミング技術を手に大手ゲーム会社に就職し、ゲームソフトプログラミングの仕事をしていました。世界的ヒットになった「メタルギア」シリーズ初の海外版「Snake’s Revenge」の開発チームにもいたんですね。余談ですが、海外ではミリオンヒットし、その後の「メタルギア」本体にも影響を与える分岐点のような作品になったといわれています。ボス敵プログラミングと後半のマップを担当しました。
本題に戻りますが、その後、仲間とベンチャー企業を立ち上げて、自分たちのアイデアをゲームとして世に送り出そうと動いていた時があるのですが、残念ながらそれはカタチにできませんでした。ところが今回、その20年以上前の構想を元にして世に出たゲームが、今回出展された「NAZO」です。当時の仲間であり主たる発案者が、そのアイデアを土台に温め続け、実際のゲームとしてカタチにしてくれました。
「NAZO」は、サイバードという携帯電話向けのサービス配信を中心とした会社からリリースされています。名前のとおり、謎解きがメインのアドベンチャーゲーム。ティザーサイトはこちらでです。映画の『MEMORIES』『鉄コン筋クリート』などを手掛けたアニメーションスタジオ「STUDIO4℃」や、日本を代表する編集者の松岡正剛など、そうそうたるメンバーが制作チームに名を連ねていることもあり、業界では話題になっていたようです。ビジュアルやストーリー、音楽、どれも手を抜かずクオリティが高く、単にコンシューマーゲームを真似ただけのスマホゲームとは、ひと味違うワクワク感を得られます。
期間限定で、すべての謎を解き明かしたユーザーには、「宝」なるものが提供されたり(何かは言えないのですが、実物としてもらえる)、ユーザーからの課金が貧困で悩むベネズエラのチャリティ支援に使われたりと、ゲームの世界を乗り越えて、現実世界への波及を狙った意欲作です。
あの時は実現できなかったゲームが、こうして本当に形になるなんて……あきらめずに夢を追いかけることの大切さを教えられたように思います。

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【告知】ラジオ関西「いまいち萌えないラジオ」に出演します!

2014.12.6

CATEGORIES:国内 ,神戸

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明日12月7日と、再来週12月21日の日曜深夜、ラジオ関西の番組「いまいち萌えないラジオ」にゲスト出演いたします。「いまいち萌えないラジオ」は、兵庫県内のポップカルチャー紹介を中心とした、ゆるーいトークが魅力の番組。


パーソナリティーのラジモエちゃんとケーちゃんに、僕が翻弄されている様子(笑)をどうぞお聞き逃しなく!

■番組情報
ラジオ関西 558KHz
いまいち萌えないラジオ
毎週日曜 23:30〜24:00オンエア
公式HP:http://jocr.jp/imamoe/index.html

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時代を超えて響く 四つ打ち盆踊り「テクノ盆」

2014.12.2

CATEGORIES:学校・教育 ,神戸 ,音楽

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さて、夏の思い出を振り返るシリーズ第2段は、8月25日に開催されたホテル北野プラザ六甲荘と神戸電子合同の夏祭り「テクノ盆」。毎年恒例のイベントなんですが、今年も盛り上がってくれました。神戸の夏の締めくくり、僕はこれだと思っています(笑)。もう冬になってしまいましたが、来年の告知も兼ねて「テクノ盆」の様子をお伝えします。

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まずは軽く盆踊りの歴史から。盆踊りはそもそも仏教行事のひとつ。平安時代の僧・空也上人が広めた「踊念仏」に起源をもつともいわれています。踊念仏は、鉦や太鼓を鳴らし、踊りながら念仏を唱えるというもの。念仏を覚えやすく踊る楽しみがあったため、全国的に大ヒットしたそうです。こうした踊念仏が、念仏より踊りに重点をおくことで「念仏踊り」が生まれ、さらに庶民の自治能力が高まるにつれて、次第に庶民のエンターテインメントとしての「盆踊り」が確立したそうです。
高らかな祭り囃子に、腹に響く太鼓の重低音。きらびやかな提灯の下、集団で踊ることのエクスタシー……今風にいうと、盆踊りは“和製のクラブ”といったところでしょう。音に合わせて踊り熱狂していた光景を思い浮かべると、庶民が日頃のストレスを発散する場になっていたのかもしれません。
しかし、明治維新後の脱亜入欧にともなって、盆踊りはそのエネルギーの大きさから警察の取り締まり対象になります。今も昔もお祭りにはお酒がつきものですし、娯楽が現代よりもずっと少なかった時代ですから男女の出会いの場でもあったのです。それが風紀を乱すということで目をつけられたんですね。取り締まりが強化されるにつれ、和製のビートは近代化の波とともにエンターテインメントの表舞台から姿を消し、各地方でひっそりと踊り継がれるだけになってしまったというわけです。昨今のクラブやダンスを規制する風営法問題と通じるところがあります。
けれど、今でも晩夏を締めくくる盆踊りの活気や、見よう見まねで踊る子どもたちの笑顔を見ていると、盆踊りのメンタルは日本人の心にしっかりと刻み込まれているのではないかと思います。

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「テクノ盆」はそんな伝統的な盆踊りの最後に、DJブースを設置し、クラブミュージックさながらの祭り囃子で踊るユニークなおまつりです。形骸化していった盆踊りを、電子音楽と最新の音響技術でリエンジニアリングした祭り囃子でもって、いまの若い人たちにも親しんでもらえるようアレンジしています。毎回、電子音楽に和楽器を合わせるのですが、今年は大太鼓、三味線、笛の生演奏を組み合わせました。古今の橋渡しとなるようなミックスでしたね。電子音による四つ打ちビートと、大太鼓によるヘッドビートとが、音の衝撃波となって身体にビリビリと伝わってきました。晩夏の暑さも加わって、会場はあっという間に熱量を帯び、参加した学生は当然のことながら、お越しいただいた年配の方々も自然と身体が踊り出しているようでした。もちろん僕も踊りましたよ。

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来年もさらにパワーアップして帰ってくることを約束しましょう。今年を逃した皆さん、ぜひお越しください!

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