神戸電子専門学校ゲームソフト分野では、「ゲーム業界全員就職!」を目指し、ゲーム業界との強固な連携を行っている。
毎年多くのゲームプログラマーを輩出している同校では、ゲーム業界からの注目度も非常に高い。
2月11日(祝)には、株式会社ゲームリパブリックが次世代の優秀なゲームプログラマーを採用するために同校を訪れ、
就職活動を予定している学生やこれからゲーム業界を目指そうとしている高校生などで会場は超満員となった。
今回は、岡本吉起社長自ら説明を行うことになった。岡本吉起社長といえば、いくつものヒット作をプロデュースした、
ゲーム界の巨匠でもある。
岡本社長の講演はいつも笑いが絶えない。今回もエネルギッシュに語り、難しい話もオチをつけて会場を笑わせていた。
学生達にとっては聞き慣れない、業界の世界的動向にまで話が及んだが、岡本社長の巧みな話術によって最後まで
引き込まれるように話を聞いていた。
企業説明会はまず、「岡本ってどんな人?」というテーマで、ゲーム業界に入る経緯を語ることから始まった。愛媛の山奥出身で、
「ぼくみたいな田舎者でもチャンスがある。実家に頼れないハンディキャップがあっても、努力で補える!」と地方出身者に
エールを送った。続いてゲーム業界については、「世界の市場規模は約4~5兆円といわれているが、国内市場は約5500億円。
日本のシェアは15%以下にすぎません。その昔は50%ほどのシェアがあり、日本はゲーマーの国でした。それが今、
日本の売り上げは前年比約93%と7%もダウンしており、このまま10年経つと70%も減る計算に!
今のゲーム業界は元気がないという現実を知ってほしい」と、業界の問題点を指摘した。
また、ソフトに関しても、「Grand Theft Autoシリーズを知っていますか? 世界で大ヒットして8000万本も売れているソフトですが、
日本ではそれほど知られていません。ソフト市場の販売動向は、日本は横ばいですが、北米・欧州は2倍、3倍と伸びています。
つまり、日本だけを見て、日本向けのゲームを作っていると売り上げは伸びない。広い世界を見なくてはいけないということをよく覚えていてほしい」と、世界的視野をもつことの大切さを力説した。
株式会社ゲームリパブリックについての説明では、「社長の年齢はまだ48歳。創立して7年しか経っていない若い会社です。
しかし、ゲーム業界で大作を手がけてきた人なども多数おり、人材育成には力を入れている。若手の発言・企画提案も活発。チャンスは多いので、将来ディレクターやプロデューサーを狙ってほしい」と語った。
会社や業界の話を終えると、“岡本の考え方に触れてみましょう!”という特別講義を行った。ゲーム作りにおけるポイントとして
「“聞いてオモロイ、見てオモロイ、遊んでオモロイ、まねしてオモロイ”が大切。考えたゲームを誰かに聞かせても、画面で見せても、実際に遊んでも、『そんなやり方があったのか』と誰かの真似をして遊んでも、“オモシロイ!”でないとダメなんです」と語った。また、ゲーム作りの法則性について、「吊り橋にいてドキドキしたときに、すぐ側にいる人に恋しやすいというのは、高所のドキドキと恋のドキドキを勘違いする現象ですが、ゲームも同じ。怖い→ドキドキ→オモシロイ!と思ってしまう。つまりゲームは心臓をバコバコさせたもん勝ち!」などと、“話してオモロイ”を自ら実践し、会場を大いに沸かせた。
最後は“ゲーム争奪じゃんけん大会”で盛り上がり、約1時間半のセミナーはあっという間に終了した。
参加者とじゃんけんをする岡本氏 プレゼントのゲームを手にする岡本氏
今日のセミナーの感想を、参加した神戸電子専門学校在校生にインタビューした。
エンターテイメントソフト学科(3年制)1年の加藤優季さん
―― 一番印象に残った内容は?
ゲームというのは “聞いてオモロイ、見てオモロイ、遊んでオモロイ、まねしてオモロイ”が大事というところですね。ゲーム作りの考え方には刺激され、ゲームをもっと勉強しようと思いました。まずは映画『アバター』のゲームを“オモロイ”かどうか体験してみようと考えています。
―― 会社や業界についての話では?
新規プレイヤーの掘り起こしが大事だと思うので、新作ゲームの開発に意欲のある会社ということに興味を持ちました。また、ゲーム業界も世界に目を向けるべき、ということも心に残りました。岡本社長の話はいつも楽しくて、頭にスーッと入ってきます。もっといろいろな話を聞きたいと思います。
―― 将来の夢は?
プログラマーを目指しています。触って気持ちの良いアクションゲームを作りたいというのが夢。反応の悪いゲームでストレスになることが時々あるので……。今日の話を聞いて、プログラマーという仕事をさらに身近に感じることができて良かったです。
セミナーを終えた岡本社長に、ゲーム業界を目指す学生達へのアドバイスなどをインタビューした。
―― 採用するなら、どのような学生がいいですか?
自分なりの武器を持っている人がいいな。つまり、ある分野がすっごく得意な人。全部合格点じゃなくていい。極端に言えば、100点が1つで、他は全部0点でもいい。そんな人なら、この仕事がぴったり!とはっきりわかるでしょ? 短い学校生活ですが、その間に勝負できる自分の武器をしっかり磨いてほしい。
―― 神戸電子専門学校の学生の印象は?
縦の関係がしっかりしている校風がいい。この学校には先輩・後輩の交流があります。先輩は後輩に教えながら復習できているし、後輩は先輩を目標にしてがんばっている。苦労して学んだ先輩から教えてもらうと、よく理解できると思いますよ。また、学校が繁華街から少し離れているのも利点。勉強に集中できますからね。学校そばの寮に住めばずーっと勉強できるから、もっといい! 2年しかないんだから、トコトン勉強してほしいですね。
―― 学校と業界の連携を深めることについては?
とてもいいことです。学生達がプロと接する機会が増えれば、モチベーションが上がります。現場の声が聞ければ、正しい道標にもなります。ゲームリパブリックとしても、今後も大いに神戸電子さんと連携を深めていきたいと思っています。
神戸電子の福岡校長がセミナー開催の感謝の意を伝えに岡本社長をたずね、校長&社長のショート対談となった。
岡本社長 セミナーはどうでしたか?
福岡校長 今日もトークが冴えていましたね。世界と日本を対比させた話などは興味深く聞かせていただきました。
岡本社長 世界の市場規模が約4兆円なんて聞いても学生達にはピンとこなかったかもしれませんが、世界的視野を持ってもらいたいのであえて話しました。
福岡校長 ところで、世界進出はどのようにお考えですか? 特にアジアについては?
岡本社長 アジアはインドと中国が狙い目ですが、すぐには難しいですね。特に中国には超えるべきハードルがいくつかあります。韓国は日本文化にオープンになってきましたが。
福岡校長 韓国はエネルギッシュな国で、負けたくない!という意欲にあふれ、パワフルです。それに比べて日本には閉塞感が漂っています。今の若者は好景気を知らず、将来に不安感をもっています。おもしろいゲームを出して、沈んだ空気を打ち破ってください。
岡本社長 かつて日本は元気でした。日本人は世界に通じる技術を持っていますが、遊びが足りないから、世界に太刀打ちできていない。もっと明るく楽しめばいいんです。校長だって学園祭でDJするなら、今度はDJらしく茶髪にヒゲでお願いしますよ(笑)。
福岡校長 まぁ、それぐらい元気を出してやるという方向で(笑)。
岡本社長 日本をみんなで元気にしましょう! ゲーム業界も、学校も!
福岡校長 そうですね。これからも神戸電子をよろしくお願いします。
岡本社長 こちらこそ、よろしくお願いします!
※ファミ通.com
http://www.famitsu.com/game/news/1232313_1124.html
※神戸電子専門学校 Webページ
https://www.kobedenshi.ac.jp/
※福岡校長はブログ「神戸的校長」を連載中。
https://www.kobedenshi.ac.jp/blog/fukuokasoji/