●ファミ通グループ主筆、加藤氏&ゲーム業界巨匠、岡本氏が語りつくした!
株式会社ゲームリパブリックの岡本社長が『週刊ファミ通』に不定期連載しているゲーム業界対談コラム「語って!チョーダイ!!」のライブ対談が兵庫県の神戸電子専門学校で実現した。
対談相手は「語って!チョーダイ!!」1回目ゲストであったファミ通グループ主筆、加藤克明氏。業界最前線を走ってきた2人が「編集できないから怖い!」と言いつつ、今日までの紆余曲折や業界のこぼれ話などを存分に語り合ってくれた。オモシロ・トーク炸裂で約2時間、会場を爆笑の渦に巻き込んだ。
ライブ対談は、岡本社長から加藤氏へ質問を投げかけ語っていく形式で進められ、「今の『ファミ通』になった経緯は?」の質問に対して、
加藤氏:
創刊当初『ファミ通』はあまり売れなくて、売れるために改良に次ぐ改良をして、面白いと思うことはどんどん取り入れました。ゲームの情報にこだわらず載せたのでゲリラ的と言われましたが、そのうちに独自のポジションを築き、多くの読者を獲得できるようになりました。スーパーマリオ以降の大ゲームブームに対応して、いち早く週刊化したことが、時代にマッチしたようで部数を伸ばし、今日まで『ファミ通』は続いています。
岡本氏:
それにしても『バカタール加藤』と名乗って、鼻に赤ペンを突っ込んで雑誌に出てくるなんて面白すぎ!“鼻ペン”のきっかけって、何なんですか?」、加藤氏「歩いてたらペンが刺さった、わけじゃない(笑)。顔にインパクトがなくてキャラ薄いと思ったのかなぁ?
また、加藤氏から岡本社長への質問もあった。
加藤氏:「(株)ゲームリパブリック設立のきっかけは?」
岡本氏:組織の規制にとらわれず、オリジナルタイトルの制作に力を入れたかった。日本のゲーム業界を元気にするためには、それが必要じゃないかと世の中に問いたかった。かつて世界の7割は日本のゲームでしたが、今は北米や欧州のゲームが大半です。日本はもっと世界を目指すべき。中国やインドなどの市場を視野に入れて開発すれば、業界がもっと活発になると思います。それに対し加藤氏は、「ゲーム会社は規模が大きくなると経営主導になりがち。クリエイターも利益を求めるようになって、効率を優先すれば、何かにこだわることができなくなり、つくり手の面白がる気持ちが商品に届かなくなる。でも、岡本さんは違う。つくることを面白がれる人だから期待しています。
お二方への質問は以下のとおり。
「仕事でつらいと思うことは?」
加藤氏:仕事でつらいことなんてありません。周囲は、原稿がボツになるとつらいと言うけど……。
岡本氏:ぼくも仕事でつらいと思ったことはない。開発途中でボツると悔しいけど、決してつらくはない。ボツは成功の糧になることを知っているから。もうちょっと何かできたのでは?と自分の不甲斐なさが悔しいだけです。ゲーム業界の仕事はラクではないけど、楽しいですよ。だから、毎日楽しくてバカみたいに笑っています。
と答えた。
「業界を目指す学生たちへメッセージを!」
加藤氏:
業界は少しずつ変化していますが、多くの人を感動させたいという、つくり手の想いはずっと同じ。面白いことを突き詰めて、ゲームをつくるということ自体は変わっていません。だから、学生の間に好きなことを大いに突き詰めてください。そうすれば、自分だけの面白い何かが見つかるはずです。
岡本氏:
これは絶対、誰にも負けないというものを、たった1つでいいから、つかみとってほしい。それがあれば自信になる。苦しいときも心が折れることなく、乗り越えてゆけると思います。
最後は、(株)ゲームリパブリック制作のカードゲーム「トリック&トリート」、ボードゲームでは「シャドウハンターズ」「オーナーズチョイス」、そして岡本氏モデルの特製フィギュア争奪のじゃんけん大会で締めくくった。
●対談後の楽屋で、さらにもう一言
◆加藤氏のコメント◆
ゲーム業界は自由度が高く、魅力がいっぱいあります。自分のつくった商品で多くの人が遊んでくれて、面白い!感動した!はまった!というリアクションがダイレクトに返ってくるなんて、こんなワクワクする業界は他にありませんよ。クリエイターのものづくりへの想いは昔も今も不変。私達がやったように、若い人達も「これだ!」と思うものをとことん極めればいい。それが独自の面白さになっていきます。突き詰めることが大事です。
◆岡本氏のコメント◆
若い子は経験がなくて体力があるから、未知の世界へ思い切って飛び込めます。我々おっさんの年代は経験値が高いから、安全で確実なものを選ぶことができます。若い子は若い子なりに、おっさんはおっさんなりに精一杯、力を発揮すればいい。新人・中堅・ベテランがそれぞれの長所を生かして互いにうまくかみ合えば、ゲーム業界をもっと元気な方向に引っ張っていけると思います。……オレ、いい事、言うなぁ。(笑)