仕事の意義、作品が完成するまでの苦労、CGテクニックまで、幅広い媒体を手掛けるアニメ製作会社がリアルな現場の話を披露
2014/4/26(土)、ホワイエで3DCG業界セミナーにおいては、STUDIO4℃ CGI監督の野尻裕子氏が登壇されました。
STUDIO4℃は、劇場作品のほかにPV、ミュージックビデオ、CM、WEBムービーなど、幅広い媒体を一手に手掛けるアニメーション制作会社です。なかでも、CG製作においては草分け的存在。その中で、野尻氏はCGI監督、色彩設計を務めていらっしゃいます。セミナーでは、CGI監督と色彩設計の仕事内容について、また、STUDIO4℃のワークフローや、「CGとバレないような使い方をする」という具体的なCGテクニックをわかりやすくご解説いただきました。
TOYOTAとSTUDIO4℃のコラボプロジェクト「PES NEXT GENERATION」
とくに学生たちの関心が高かったのは、TOYOTAとSTUDIO4℃のコラボプロジェクト「PES NEXT GENERATION」についてです。「コラボすることで双方にどんなメリットがあるのか?」といった質問も寄せられ、野尻氏からは「車とアニメという日本の代表的技術を担う会社が、一緒に何かを作るということに大きな価値がある。そして、それを社会に発信することで、双方のコーポレートアイデンティティの向上につながります」という回答をいただきました。コラボプロジェクトが生まれたいきさつや、互いに納得のいくものが出来上がるまでのTOYOTAとのやりとりや苦労などもお話しいただき、学生たちも「仕事の実際」をよりリアルに感じることができたようです。
個別作品指導・個別質意義応答
あっという間に時間が過ぎ、まだまだ聞き足りなかった学生たちが楽屋を訪れて、野尻氏はセミナー後も質疑応答、作品指導に熱心にご対応くださいました。
~楽屋での野尻監督へのインタビュー~
完成作品を見たときの感動が次への原動力。また味わいたいからやめられない!
STUDIO4℃
CGI監督/色彩設計
野尻裕子氏
この業界は、3年では本質は見えないと思います。まずは10年続けることを目標に、「自分が10年続けられることって何だろう?」と考えて社会に出ることをおすすめします。やはり自分が興味のあること、好きなことをやるほうが楽しいし、技術の向上にもつながります。それが評価されれば、まさにいいこと尽くしです。好きなことを好きで終わらせるのではなく、学生のうちから好きなものを形にしていくとよいのではないでしょうか。
私は業界に入って8年目ですが、もちろん「もう辞めたい」と思ったことはあります。それでも続けてきたのは、作品が完成したときの感動が忘れられないからです。アニメーションは一人の力ではできません。職人たちがつくった絵が動き、そこにプロの声優の声、プロの音響の音がのり、仕上がった作品をみんなで見るときの喜びといったら、言葉では言い表せません。それを見た瞬間、辛いことも忘れて、この感動をもう一度味わいたいと思うのです。一度業界に入ったのに離れてしまったら、きっと後でつくり手だったときの喜びを思い出し、せつなくなるはずです。業界内でステップアップのために環境を変えることはあったとしても、ぜひ10年はこの業界でがんばってみてください。
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