あの『パズル&ドラゴンズ』『ポケモンシリーズ』など、誰もが知る大ヒットゲームの作曲を手がけた二人が来校、即興演奏の実演から仕事論&人生論まで熱いトークセッション!
2015/6/20(土)、伊藤賢治氏と景山将太氏をお迎えし、ドームホールでサウンドセミナーを開催しました。学生への質問から始まり、その指向や目的、興味などを探ってからトークに入る伊藤氏の徹底ぶりは相変わらずです。
景山氏は、DTM(Desk Top Music:PCによる作曲・編曲)を知らなかった頃、『モルダウ』が、PCでオーケストラ演奏されるのを聞いて感動したといいます。「DTMを使えばオーケストラからバンドサウンドまで幅広い音楽を作ることができる、これを一生の仕事にしたい!とそのとき思いました」。伊藤氏は「ブレスなどのリアル感、独特の表現はどうしても再現できないDTMに少し違和感があった」。しかし共に、「PCは生き物じゃないから生の音楽を勉強しなければならないのは、昔も今も変わらない」という考えです。
即興で書かれた短いコードを二人がその場でメロディーにしてキーボードで奏でる様子は、「音楽ってすごい!」という感動が素直に生まれる瞬間でした。ドーム内は一転して静まりかえり、全員がしばしその音色に耳を傾けていました。
二人共に非常に熱が入ったのが、“プロ論”です。伊藤氏は「専門学校生はすでにプロの入口に立っている人。皆さんはもう序章が始まっているんです。いわば “プロのプロローグ”」と言います。専門学生だった頃、授業だけでは飽き足らず、いろんな分野のスペシャリストに自分で足を運んで勉強したという伊藤氏。「言われた仕事はきっちりやるけど、自分で考えない人もいる。それはプロといってもただの便利屋です」という言葉には重みが感じられます。景山氏も「先生がレールを敷いてくれた高校までとは違い、それ以降は答えがない。だから自分で見つけるしかないんです。プロの世界では誰も教えてくれないから自分で学ぶ、これも当たり前」とアドバイス。
前半に高校生をまじえた二部制で、丸一日かけて楽しいトークと仕事&人生のアドバイスがハイテンションで繰り広げられました。
やりたい道は自分で切り開く。
ヒントをつかみ、可能性を見いだしてほしい。
作曲家・編曲家
伊藤賢治氏
私は、せっかく入った専門学校で先生にいきなり「作曲家になりたいのなら音大に行け」などと言われる始末で、それならば何とかして自分で、やりたい音楽をやるすべを見つけるぞ、と思いました。気付いたらどんどん学校の外に出て行って、たくさんの先生とつながりをつくっていました。コミュニケーションに関しては、実は苦手なほうでした。こんなフレンドリーな感じになったのはフリーランスになってからですよ。悩んでいる学生が多いようでしたが、しっかりとした意志は心の中に持っていると感じさせる人ばかりでした。今日の話で何らかの可能性を考えられるヒントを得てくれればうれしいと思いました。
将来の方法や選択肢を示し、導きたい。
それがプロの先輩としての役割です。
作曲家・編曲家
景山将太氏
今日一番伝えたかったのは、知識や作曲のノウハウというより、プロとしての考え方や人生のヒントです。たくさんの学生と長い時間接して、自分でレールをつくっていかなければならないこれからの人生に対し、不安を持っている人がいかに多いかということが分かりました。だから今日の“プロ論”も、音楽という分野に限らない、仕事と人生のヒントになればと思っていろいろと話したつもりです。今の時代は情報があり過ぎるんです。そんな中で自分で意思決定できるように方法や選択肢を示して導くのが私たち大人の、そして先輩プロとしての役割なのかなと感じました。
お忙しい中、本当にありがとうございました!