VR業界を牽引するゲームクリエイター、ゲームジャーナリストによる
ゲーム市場におけるVRの可能性とチャンス
2016/7/17(土)、「VRはエンターテインメントの未来をどう変えるのか?」というテーマで、日本におけるVRの第一人者、ゲームクリエイター・水口 哲也氏とゲームジャーナリスト・新 清士氏が登場されました。
2016年はVR元年と言われ、今後もますますVRの需要急増が考えられます。
新氏(写真左)はジャーナリストの視点で、VRの現状を分かりやすく解説。視界をすべて覆うことで脳に現実世界と勘違いさせるというVRの基本特徴から、ゲーム業界やIT業界に限らず超大手企業がVRに算入していること、ハイエンドVRとモバイルVRの特徴、アメリカのベンチャーが開発した「Tilt Brush」などVRの実例を紹介されました。「VRは一時的なムーブメントではなく、10年、20年と続くもので、今後、現実世界へとはいってきます」と新氏。
続いて水口氏(写真右)。「スマホでも家庭用でも、すべて四角い画面のなかで行われるもの。これまでは、その画面に縛られてゲームをつくってきたけれど、制約や限界がある。VRはそれらが取っ払われ、頭の中でイマジネーションしたものを表現できるのです。VR、さらにVRとAR(拡張現実)が融合する世界は、すぐにやってきますよ」と話されました。
セミナー途中で、神戸大学大学院で医学博士の杉本 真樹先生(写真一番左)が登壇。医療現場におけるVR活用について事例紹介が行われました。「CT画像をもとに作成した患者様のお腹の中の映像を、その患者様のお腹の上に投影。開腹する前に内臓の位置や周りにある血管の場所まで正確に分かるので、必要最小限の傷で手術ができるのです。2006年からすでに医療現場にVRを活用していましたが、今になってようやく理解が進み、今後、さらに医療現場での活用が拡大するのは間違いありません」と力強く語られました。
またセミナー中に、VR体験も実施。セミナーでも紹介されたTilt Brushなどを参加した在校生・高校生に体験してもらいました。
5年後、10年後にはVRによって
想像を超えることが起こるはず
米国法人enhance games
CEO
水口 哲也氏(写真左)
VRを取り巻くスピードは急速にすすんでいます。画面という四角い枠を外れ、完全に自由な体験ができるVRから後戻りすることは、もうないでしょう。
5年後、10年後と言った近い未来、すごいことがおこっているはず。10年後でもみなさんは30歳前後という即戦力世代。そこに向けて新しい知識や情報を精力的にインプットしたり、とにかくVRを体験することが大事。それをもとに、こんなことが将来できればおもしろい、といった現状では不可能でもユニークなアイデアや新しい発想をもっておけば、将来、それを現実のものにする日がくるかもしれません。
新しい分野だからこそ先駆者がいない
ヒーローになれるチャンスがあります
ジャーナリスト(ゲーム、IT)
Tokyo VR Startups 取締役
新 清士氏(写真中)
VRは、人間とコンピュータの関係性を変えるもの。VRによって、わたしたちは完全にキーボードから離れることができるのです。VR、さらに AR、MRへと続く一連の大きなイノベーションが起こっていて、ゲーム業界だけでなく一般ユーザー、つまり私たちの生活におけるVRの開発へと世の中の流れが大きく変わり始めました。
学生のみなさんは、時代が変わるという、いい時を経験できているのです。先輩やエキスパートがまだいない分野だからこそ、ヒーローになれる権利を誰もがもっています。いろいろな経験を重ね、フレッシュなアイデアで、今までにないおもしろいものを創ってほしいですね。
VRによって命を救いつなぐ
医療分野ではさらに活用が加速
神戸大学大学院
医学博士/特務准教授
岡本 真樹氏(写真右)
VRは見えないものを実際の画像として見ることができるという点に加え、触感という利点があります。視覚や聴覚、つまり目と耳に刺激を与えるものはありましたが、触ることで得られる感覚の表現も可能に。20以上あるとされる触覚の再現は、VRだからこそ可能になるのです。
医療の分野では、たとえば、ある臓器と同じような触感の材料を使ってその臓器を3Dプリンターで作り、VRメガネをあけて手術の練習し経験を重ねる、といったことも。社会実装という点で、医療におけるVRは、ますます広がりをみせるでしょう。
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