2016/7/16(土)、世界発のホテル受付ロボットをはじめ、最先端の人体型ロボット「アクトロイド」を手がける株式会社ココロ。今回のセミナーに登場された櫻井英彰氏は、同社のRT事業部次長として、現在は新規開発を担当。ロボットビジネスの展望について、分かりやすく紹介くださいました。
生活密着型ロボットのニーズ拡大について解説!
まず、株式会社ココロの事業内容から。キャラクタービジネスを展開する「サンリオ」のグループ会社として1984年に創業。日本のロボット業界のパイオニアとして恐竜、動物や人体型、キャラクターなどさまざまなロボットを製作されています。特に恐竜のロボットは、30年以上も前に製作され、現在、ロンドンの大英自然史博物館をエージェント窓口として、世界中に納入。
「恐竜ロボットはリアルな外観で覆うため、モーターだと中に熱がこもったりモーター音が大きいなど課題があるため、圧縮エアーを採用。それにより、リアルな動きを可能しています。人体型もモーターだと機械的な固い動きがかえって不自然なので、エアーの伸縮性を利用。ただ、その伸縮性をコントロールするのがむずかしく、そこに技術レベルの高さが問われるのです。さらに外装も人体に近づけるため、やわらかいシリコン素材を使用。アクトロイドは20代前半の女性を想定しているので、笑った時にシワやほうれい線ができないよう、細かい表情の作り方まで工夫しています」
アクトロイドは、細身の女性のボディラインに収まる高密度のメカニズムを採用。音声認識技術と会話エンジンを組み合わせたマンツーマンの受付も対応できます。2005年に愛知県で開催された「愛・地球博」でも、同社の人体型ロボットが活躍しました。
後半は、ロボットの活用現場について、具体的なケースを紹介。中でも、歯科大学における実習生の治療トレーニングでは、患者役のロボットが「痛い」と言う対応をするなどリアルな治療現場に近い実習を再現。
「人体型ロボットは展示や研究から、私たちの生活にはいってくる時代です。ハウスステンボスの『変なホテル』は、フロントの受付がすべてロボットで4か国語に対応。ホテル、病院、企業などロボットによる受付は広がっていくでしょう」
さらに、高齢化による労働量不足、重労働や危険な仕事の代替、生産性の向上など、人の代わりをするロボットは幅広い業界でニーズが高まっています。
「生活密着型の次世代ロボットの開発は、国のバックアップもとで普及促進が進められています。今後もニーズが拡大することが間違いないでしょう」
今の技術を求めるよりも、まずは基礎を固め、
将来、こんなロボットを創りたいという夢を!
株式会社ココロ
RT事業部次長
櫻井 英彰氏
開発だけでなく面接や採用も担当していますが、こんなロボットは創りたいとこだわりが強すぎる方もおられます。意欲はもちろん大事なのですが、ロボット創りもチームワークが大切。ロボット製作は設計したら終わりではなく、多くの人が関わっています。当社だけでなく、音声認識など他社の最新技術をコラボすることで新しいものに到達することもできます。
だからこそ、チームワークやコミュニケーション力なども身につけておかなければなりません。また、好奇心も大事。趣味や趣味以外でもいろいろなことを知っておいたり、多くの友人や知人と関わりを持つことで得られる情報、それが新しいロボットのシーズになるかもしれません。
学生の今、基礎を固めることはもちろん当然ですが、今の技術を追い求めることはありません。
技術は日々、変化しているので、現場に関わるようになってその技術を応用すればいいのです。今は私たちが創るロボットを見て、それを自分ならこう改造したい、こんなロボットにしたいといった夢を描いてほしいですね。その思いが、きっといつか現実にする日がくると思います。
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