2016/9/10(土)、『PSYCHO-PASS サイコパス』『進撃の巨人』などのキャラクターデザインを手がけた、株式会社WIT STUDIOの浅野 恭司氏にお越しいただき、アニメ業界セミナーが開催されました。
プロダクションIGを経て、5年前に現在のスタジオを立ち上げた浅野氏。プロダクションIGで一緒に仕事をしたスタッフや監督たちと、今でも多くのアニメを制作しているそう。「一度一緒に仕事をして実力があった監督や演出の方は、次も一緒にやりたいと思いますよね。スタッフ同士でも同じで、腕のある人は次の仕事につながっていく。そうした実力をつけるには、若いうちから与えられた仕事にきちんと真面目に取り組むこと。辛くても全力で取り組めば、必ず身になり花開くときがきます」とお話くださいました。
次に、WIT STUDIOのオリジナル作品である『甲鉄城のカバネリ』が紹介されました。2016年春に放送され、特に作画レベルの高さが話題となったアニメです。美樹本 晴彦氏のキャラクター原案や江原 康之氏のキャラクター設定などの制作資料を見ながら、アニメーションとして動き出すまでを解説。また、この作品ではテレビアニメ初の「メイクアップアニメーター」という役職を取り入れ、表現を追求したそう。メインキャラクターの決めカットで、髪の毛の艶や質感、瞳の輝きを足すほか、アイシャドウやチークをのせるなど、メイクさながらに描き込んでいったと言います。その実際の絵コンテやタイムシートなどを見ながら、ひとつのシーンが出来上がるまでをじっくり解説いただきました。
質疑応答では「キャラクターデザインで大切にしていることは?」との質問も。「僕の場合、漫画原作のキャラクターデザインが多いですが、原作の絵をそのまま動かしたい思いが強い。原作を1日100〜200枚と模写しまくって、クセを取入れ自分のものにしてからデザインします。学生の皆さんも、ただマネするだけでなく“何のために模写するのか”を意識して、自分のものにすることで画力向上につながると思います」とお話くださいました。
セミナー終了後は、集まった一人ひとりの学生の作品に対し、丁寧で実践的なアドバイスをいただきました。
若いうちに、アニメはもちろん
様々なエンタメに触れ知識や技術を増やして。
株式会社WIT STUDIO
取締役/アニメーター
浅野 恭司氏
僕も学生時代、アニメばかり見ていましたが、やはりアニメ作品はたくさん見て、目を肥やしておいたほうがいいですね。その中で、自分の目標とする絵柄や動かし方を見つけてください。プロで活躍する人の絵を「この人の手癖はどうなっているのだろう」「顔や体のバランスは」「動き方は」など、分析しながら見るクセをつけておく。そうした蓄積があると、自分が描く時にも迷いがなくなると思います。また、アニメに関わらず映画や演劇など、いろんな分野のエンターテインメントを見て引出しを増やしておくことも後々役立ちます。たとえば、作画監督になると演出と組んで1話全体を見ます。その時、演出さんが求めていることに対して「自分だったらこうしたい」といった思いをぶつけることで、新しい表現やアイデアが生まれることも。そうした場面はたくさんあるので、知識は幅広いほうが絶対にいい。
ただ、今しかない学生時代、楽しく過ごせるのが一番。和気あいあいと何でも話せる仲間をたくさん作って、切磋琢磨しながら学んでください。
関連リンク
・株式会社ウィットスタジオ
・神戸電子専門学校 デジタルアニメ学科ページ
・過去に開催された業界セミナーレポート
・オープンキャンパスや体験入学開催中!
- TAGS
- SHARE