【セミナーレポート】第一線で活躍する建築家・岸 真也氏による建築業界セミナーを開催!

学校からのお知らせ

2017.01.26

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第一線で活躍する建築家の実例を通して
建築デザインの仕事を知る! 建築業界セミナーを開催

2016/12/10(土)、一級建築士事務所sign所長 建築家の岸 真也氏をお迎えして、業界セミナーを開催しました。
現在、日本の一級建築士の資格保持者は約36万人。建築士に限らず、ハウスメーカーの営業職や販売職など、建築業界で働くさまざまな職種の人が資格を持っているといいます。
「資格は、この仕事をするのに必要最低限なもの。資格を取れば開業することは簡単ですが、会社を残していくには、お客様がいて感謝される仕事を続けていくことが大切です」。

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セミナーでは、岸氏が設計した4つの事例を紹介。コンセプトを描いたラフスケッチやプロトタイプとともに、空間をどのように捉えデザインしていったかという、思考のプロセスまでお話くださいました。
1例目は、岸氏自身のご自宅。2例目は一面ブルーの壁が印象的な住宅です。「この青は、お客様の奥様のご希望。私としてはもう少し明るい青にするつもりでしたが、結果としてよかった。自分の思い込みがベストではなく、耳を傾けることも大事。お客様と一緒に作り上げていくものです」。
3例目は、南北に50メートルと“鰻の寝床”のような土地に建てた家。「この制約の中で、どういい空間を作るか。課題があるほどやりがいを感じますね」。

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最後は、最近増えてきたというリノベーションの物件。築100年の典型的な日本家屋です。「古い家だとほとんどの場合、図面など残っていません。家の構造を一から調査し、設計しなければならない。技術もスキルも必要です」。
ひとつの物件が完成するまで、最低でも2〜3年と長い時間がかかる建築家の仕事。
「最初のヒアリングからベースプランまで約1ヵ月。その後、何度も打ち合わせを重ね、お客様に合ったデザインや素材、ドアの大きさや棚の高さといった細部まで、全部を決めていきます。完成した時の達成感は大きいですね」。

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若い頃は、よりカッコいい建物を作りたい、大きな賞がほしいと思っていた時期もあったそうですが、経験と共に考え方も変わってきたそうです。
「今はお客様に喜んでもらえることが何よりのやりがい。一生に一度の大きな買い物を自分に任せてくれる。そのことに対して、図面の線1本でも、扉や窓ひとつでも、“本当にクライアントにとってよりよいものなのか”と、真剣に突き詰めていく。とりあえずでは、とりあえずのものしかできないし、感謝も信頼も得られませんから」。
岸氏の建築家としての実体験を踏まえた話を聞いて、学生たちも自分たちが描く将来像を具体的にイメージできた内容となりました。

興味のあることはすべてやってみる
建築の仕事に“ムダなこと”は何もない

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一級建築士事務所sign
所長/一級建築士
岸 真也氏

頭で考えていたものが目に見える巨大な空間やカタチになることに、今でも感動し、やりがいを感じますね。
若い皆さんには、何にでも興味を持ってやってみてもらいたい。スポーツでもアルバイトでも、本当に何でもいい。
以前、担当したラーメン店では、カウンターの高さや椅子のピッチ、その店のどんぶりの提供の仕方、動線、店内の香りや雰囲気に至るまで、その業種・業界のことを研究して、店舗を設計しました。どんな建物を作るにしてもそうした知識が必要です。さまざまな空間を作る建築家の仕事に、マイナスになる知識や経験なんてひとつもないんですよ。
建築の仕事って「未来をつくる」仕事だと思いますね。建物ができて終わりではなく、その建物の中で暮らす人たちの成長とか人生とか未来が作られていく。
例えば、子どもができて育ち、巣立っていくというような空間を作っている。だからこそ、中途半端はダメで、どのお客様とも真剣に向き合い、信頼関係を築いていける仕事を続けていきたいですね。

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