2017年 3DCG・アニメ業界スペシャルセミナー総集編⑦~ルーデンス~

学校からのお知らせ

2017.10.27

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ルーデンス 代表取締役、増尾隆幸氏

CM、映画で数々の賞を獲得するCG業界屈指のクリエイターがメイキング映像を分析しながら語る「CGの世界の魅力とは」

2017/8/26(土)、北野館のホワイエにて3DCG・アニメ業界に興味のある学生を対象とした業界連携セミナーを開催。CM、映画、イベント映像などのCG制作を手がける株式会社ルーデンスの代表取締役、増尾隆幸氏に登壇いただきました。
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2000年に同社がCG制作を担当したサッポロ黒ラベルのCMシリーズ「温泉卓球編/バーベキュー編」が全日本シーエム放送連盟のCMフェスティバルでテレビ部門グランプリを獲得。また2009年の映画「パコと魔法の絵本」では日本映画テレビ技術大賞の経済産業大臣賞など映像技術に関するさまざまな賞を受賞。常にハイクオリティなCG映像を作り続ける同社の技術は、高い評価を得ています。セミナーでは、そのような作品の実例やメイキング映像を紹介しながら「CGの世界の魅力」について語っていただきました。


まず、サッポロ黒ラベルのCMで、その迫力が話題となった卓球シーンが大画面に映し出されました。出演者2人が卓球台を挟んでプレーする場面にCGを取り入れることで、ピンポン玉と役者の顔、飛び散る汗などを拡大しつつスローモーションで見ることが可能となり、臨場感が伝わる映像となっていました。増尾氏は「17年前の作品ですが、当時のノウハウを駆使して独創的な映像をめざしました。映像づくりはチャレンジだという思いは今も持ち続けています」と語りました。

さらに、最近作である某企業の企業広告の映像を紹介。未来の風景をバックに空中を浮遊して移動できる乗り物や、人が遠くへジャンプできる装着機器などさまざまな移動性を高めるシステムやツールが登場。CGで表現された未来世界そのもののデザインも含めて担当されたとのことで、メイキング映像を見ながら、どの部分にどういうデザインのCGが使われたのかを詳しく説明いただきました。
また、増尾氏がCGディレクターを担当した劇場アニメ「虐殺器官」のメイキング映像を教材にして、そのシーンにCGを取り入れた意図や、どんな効果が表れたのかを解説。具体的な制作方法にも話が及び、膨大なデータが必要となる3D空間は、人の視線を考えたカメラマップを作成すれば効率的に描けるというアドバイスもいただきました。
学生たちは、クオリティの高い映像を目の当たりにしつつ、CG制作についての具体的なアドバイスもいただくことができました。自分の目標を達成するために必要なことを改めて知る、大変有意義な時間となりました。

「興味のないもの」にチャレンジし、感性を磨こう!
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株式会社ルーデンス
代表取締役
ディレクター・VFXスーパーバイザー
増尾隆幸氏

大学卒業後、イラストレーターや漫画家として活動していたとき、「ドラマを語る仕事がしたい」という思いが強くなり、当時は最先端だったCG映像を自分でつくることができれば、その思いをかなえる近道になると考えたんです。絵の具で描いたものをパソコンに持ち込むといった技術は、専門誌を読みながら独学で覚えました。パソコンでできることが年々増えてきて、3DCGの技術も0から自分で学びましたね。仕事としては、ゲームのオープニングムービーや展示会の映像などから始めました。そこで、クオリティの高いCG映像が作れるのはCMだと感じたので、コネクションを作って仕事を得るようになったんです。
この世界でやっていくには「技術」と「感性」の両輪が必要。学生のみなさんは「作品」をつくりたがるけれど、中途半端なスキルで大作をつくろうとするより、自分の自信のある「技術」を活かした短いものをつくる方がアピールできるんです。また、「人がどういうものを見ると、どう感じるのか」を理解できるようになることは、「感性」を磨く第一歩です。それができれば自分が何をつくればいいのか分かってくる。まずは学生のうちに「自分が興味のないもの」を積極的に見たり体験したりしてください。例えばCGをやりたいなら、アニメやハリウッド映画ばかりではなく何でも見る。小説、演劇、絵画、周りには感性を磨くことができるものがいっぱいありますよ。
今後は、アニメ制作の改革をやりたいですね。業界自体がデジタル化に動いていますが、その作り方にもっと工夫できることがある。2D3Dを融合しながら、もっと効率的に、クオリティの高い作品ができるというアイデアを提供していきたいと考えています。

(関連サイト)
ルーデンス
虐殺器官
神戸電子専門学校 3DCGアニメーション学科