ポリゴン・ピクチュアズ 代表取締役 塩田周三氏(当日はモデレーターを務める)
SOLA DIGITAL ARTS 監督 荒牧伸志氏
アニマ 代表取締役 笹原晋也氏
CG-ARTS 教育部長 篠原たかこ氏
●世界で活躍するCGアニメーション界のけん引者3氏が来校、業界の将来を熱く語る
セミナータイトル:「世界に挑む!日本のフル3DCGアニメ。」
2017/9/9(土)、CG-ARTS 教育部長 篠原たかこ氏のご協力を得て、株式会社ポリゴン・ピクチュアズの代表取締役の塩田周三氏、株式会社SOLA DIGITAL ARTSの監督でプロデューサーの荒牧伸志氏、株式会社アニマの代表取締役の笹原晋也氏の3氏をお招きし、「世界に挑む!日本のフル3DCGアニメ。」というタイトルでCG、アニメ分野のセッションセミナーが開催されました。
セミナーはCG-ARTSの篠原氏からCG-ARTSについての解説が行われ、篠原氏のお話の終了後、各社代表が会場に入場し、塩田氏モデレータのもと、3氏の掛け合いで進められ、まずそれぞれの会社で手掛けてきた作品が次々と紹介されました。
各社魅力ある作品の映像に、学生たちは食い入るように眺めていました。次に、3氏それぞれの学生時代から業界に入るまでの歴史が紹介されました。荒牧氏は大学で本格的なアニメーション制作に出合い、そのままこの業界に入ったこと、笹原氏は中学生の時からアニメが好きで経済学部だった大学4年の時にCGに出合ってそれから今日までCGにかかわっていることが紹介されました。なかでも、塩田氏はCGとは無関係の大手鉄鋼会社に就職した過去があり、学生時代にやりたいことが何も決まっていなくても、何ら恥じることはないとおっしゃっていたのが印象的でした。
また「プロとは何か?」という話題では、荒牧氏は最高にダメなときでもクライアントが要求する一歩上のクオリティーを出すことがプロだと指摘、笹原氏は丁寧な仕事をすること、信用されることがプロだと指摘、塩田氏は付加価値とは何かを常に考え続け、ユーザーに何らかの感情の揺らぎを生み出せることがプロの条件だとおっしゃいました。3氏は講演でユーザーの感動を生み出すには、人間の感情とは何かを知ることが最も大事だという認識で一致しました。
「日本のCGアニメーションの勝算と将来性」というお話では、荒牧氏は日本のクリエーターはすそ野が広く楽観はしているが、いくら新しいものを作っても、海外勢に作品のエッセンスはすぐに抜き取られて模倣されてしまうので危機感を持っていかなければならないと言い、笹原氏はやりたいことと会社を運営することは別で、従業員を食べさせていくには大きな視野で経営をしないと日本のアニメーションの未来はないとおっしゃり、塩田氏は日本には歌舞伎や能といったミニマムな環境で最大の感情を伝えるという歴史的なビジュアルコミュニケーションの優位性があるので、その土壌を生かした作品作りをしていけば勝算はあると力説されました。
業界を代表する3氏の熱い掛け合いに触れられて学生にとっては有意義な一日となりました。
●個別作品指導会
セミナー終了後は、3氏による個別作品指導。日本を代表するCG業界TOPの方々からの作品指導は超貴重な体験となりました。
学生はこういった状況に緊張してしまうのではないかという懸念はありましたが、3氏が学生に対して緊張しない雰囲気を作りながらの指導を行っていただけましたので、普段の自分を出せる、非常に良い雰囲気での指導会となりました。また、指導会後に3氏より優秀な学生に対しての応募促進アクションもあり、学生たちにとって人生を左右する分岐点の時間であったようにも思えます。
●登壇者の方々からのアドバイス
株式会社ポリゴン・ピクチュアズ
代表取締役
塩田 周三氏
「作品の質を左右するのはコミュニケーション能力」
ひとつの構想を作品に仕上げるためには何十人もの人間がかかわります。コミュニケーション能力は必ず身に着けておいてください。最終的な作品の質を左右するのはチーム内のコミュニケーション能力だと言っても過言ではありません。人間が一人でできることは限られています。周囲の人間に関心を持ち、うまく他人と歩調を合わせたうえで、自分の能力がどうすれば発揮できるかを常に考えて学生生活を送ってください。
株式会社SOLA DIGITAL ARTS
監督
荒牧 伸志氏
「CGアニメーション業界の未来の鍵はビジネススキームの構築にあり」
日本にはいいものを作る土壌はソフト面、ハード面ともにあります。しかし今の日本には売る能力が弱いのではないかという実感はあります。ビジネススキームの構築が日本のCGアニメーション業界の行く末を左右するのではないでしょうか。そうした人材の育成も経営の課題ですね。
株式会社アニマ
代表取締役
笹原 晋也氏
「スタッフロールに名前が載った時の感動は人生の宝物です」
スタッフロールに自分の名前が初めて載った時の達成感は今でも忘れられません。あのときの感動が今の仕事の糧になっています。
会社運営という立場からは、新しいことを常に生み出していかないといけないという漠然とした恐怖はありますが、評価してくださる方がいるからこそ頑張れます。学生の皆さんも、ちょっとした感動や達成感を忘れずに作品作りに励んでください。
(関連サイト)
アニマ
SOLA DIGITAL ARTS
ポリゴン・ピクチュアズ
CG-ARTS
神戸電子専門学校 3DCGアニメーション学科
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