2021/2/8(月)と2021/2/11(水)の二日間にわたり、インダストリアルデザイン学科の2020年度成果発表会が開催されました。
今年は新型コロナウイルス感染防止のため、学生たちはリモートによるプレゼンテーションをおこない、審査員の先生たちは作品のモックアップが展示された実習室で現物を手にしながらの審査という形式で実施。画面越しながら、皆堂々としたプレゼンテーションでした。
プレゼンテーションの後、難航する審査を経て各賞の受賞者が発表されました。その中から、見事最優秀賞および優秀賞を獲得した6名の作品をご紹介します。
【2年生最優秀賞】
吉田 瑞さん (課題:ドライバー)
最後の成果発表会で何か受賞できればいいなと思ってはいましたが、まさか最優秀賞をいただけるとはとても驚きました。以前はデザイン性と機能性のどちらかを優先して制作していましたが、今はどちらも兼ね備えた製品づくりを心がけるようにしています。今回の作品も、一見しただけではドライバーとは分からない蛇口を模したリアルな見た目と、ドライバーとしての回しやすさや機能性の両立を一番に考えて制作しました。元々デザインに興味があって入学したのですが、次第に3次元CADの魅力に目覚め、今ではより難しいモデリングに挑戦したいと思うまでになりました。卒業後は、学んだ技術を活かして仕事に取り組みながら、デザインコンペなどにも挑戦していきたいです。
【2年生優秀賞】
松本 颯一朗さん (課題:3Dプリントコンテスト出品作品「コロナ対策グッズ部門」)
世の中の「片手で使える」アルコールディスペンサーには、センサー式や足踏み式で噴射するものがありますが、壊れやすく普及もしにくいと思い、もっと簡単で広く使ってもらえるようにと考えたのがこのアイデアです。市販のボトルに被せるだけで使えるこの作品は、最後までこだわった「片手で簡単に使える」を実現させるこの形に決まるまでにかなり紆余曲折があったので、とても達成感があります。実用化するにはまだまだ改良が必要ですが、ブラッシュアップしてたくさんの人に実際に使ってもらえるようになると嬉しいです。将来はこの2年間で身につけた知識と技術を活かし、いつの日か自分のデザインしたクルマをモーターショウに出展するという夢を叶えたいです。
【2年生優秀賞】
樫本 龍一朗さん (課題:ドライバー)
今回の受賞は、2年間の努力が実ったような気がしてとても嬉しいです。プレゼンをしたドライバーは、プラスとマイナスの違いを、見た目はもちろん、手で触っても分かるという点にこだわった作品です。グリップ部分の直径や全体のバランスを整えるのにとても苦労しました。作品制作おいては、直感的に使えて使い手を迷わせないシンプルで無駄のないデザインを常に心がけています。2年間を通して、3次元CADやデザインソフトのスキルは格段に上がったと思います。また入学前と違って、今はどんな製品も「なぜこの形なのか?」という作り手としての視点で見るようになりました。将来は人を笑顔にさせられる一流のデザイナーになれたらと思っています。
【1年生最優秀賞】
八部 将嘉さん (課題:ドライヤー)
最優秀賞を受賞できたのは正直予想外でしたが、素直にとてもうれしいです。飛行機のデザインを取り入れつつドライヤーとしての機能も損なわない、というところが苦労した点でありこだわったポイントです。そのためスケッチから形を起こすのに何度もモデルをつくり直しました。合評会では、同じ要件の下に出された課題でも人によって全く異なる視点で制作された作品が見られるので、勉強になり刺激にもなります。入学からの約1年間、たいへんなこともありましたがとにかく楽しい1年でした。今後は学生のうちにしかできないボランティアやアルバイト、趣味などを通じてさまざまな人と交流し、社会に出る前に視野を広げておきたいです。
【1年生優秀賞】
田中 愛美さん (課題:のこぎりグリップ)
賞をいただけると思っていなかったので受賞はとてもうれしいです。「握りやすく」「可愛らしく」「華やかに」という3つのコンセプトのうち、「握りやすく」という部分に苦労しました。留め具の部分は立体的な星の形状に仕上げるため先生に助けていただきましたが、より可愛らしさと華やかさを表現するために最後までこだわったポイントのひとつです。この1年間インダストリアルデザイン学科で学んできて、身のまわりのさまざまな製品からヒントを得て、デザインに取り入れられるようになりました。今後は苦手意識のあるCADの技術を向上させ、目標とする商品企画の仕事に活かせる力としてアピールできるようにしていきたいです。
【1年生優秀賞】
浅野 公寛さん (課題:ドライヤー)※学生による人気投票とダブル受賞
優秀賞の受賞もうれしいですが、学科内の学生人気投票でトップに選ばれたことが特にうれしかったです。プレゼンをした「ドライヤー」の課題では、普段からドライヤーを使った後無造作に段ボールに放り込んでいることを思い出し、きちんと置いておける、さらに置いたまま使えるこの形を思いつきました。機能性とデザイン性の両立にはとても苦労しました。特に持ち手と吹き出し口部分とのバランスが難しく、何度も修正してやっと完成したので評価していただけてうれしいです。1年間でゼロからここまで3次元CADを使えるようになったので、将来はCADの技術やデザイン力を製品の開発に活かせるよう、さらに技術を磨いていきたいです。
全ての発表が終わり、成長著しい1年生と卒業を目前に控えた2年生に対し、審査員の先生方からは労いと激励の言葉がかけられました。素晴らしいプレゼンテーションを披露した1年生は、まだまだ高度な設計やデザインの技術を養っていかなくてはなりません。そして高い技術力で作品を仕上げてきた2年生は、先生方からのアドバイスを胸に、今後はそれぞれのフィールドで自分たち力を存分に発揮してくれることでしょう。
- TAGS
- SHARE