2023年7月9日(日)香川県立高松高校と香川県立高松工芸高校の1年生の有志の皆さんにユダヤ難民の歴史と人道支援の地「神戸ジューコム」についての研修会を実施いたしました。
高松高校は多くのユダヤ人の命を救った杉原千畝氏の奥様の母校であり、生徒の皆さんは熱心にユダヤ難民の歴史を学ばれています。昨年10月には当時の1・2年生の方に向けて研修会を行いました。今回は高松工芸高校の皆さんも加わった47名の方に対しての研修会となります。
神戸電子専門学校 南館にある「神戸ユダヤ共同体(神戸ジュ―コム)」跡地について
第二次世界大戦中、迫害を逃れて集まったユダヤ人に対して杉原千畝リトアニア領事代理の人道的行為によっていわゆる「命のビザ」が発行され、約 5,000 人のユダヤ人の命が救われました。その後来日したユダヤ難民は、当時日本最大のユダヤ人組織のある神戸の「神戸ジューコム」で受け入れられ、あらゆる支援を受けました。
神戸電子にはその「神戸ジューコム」の石垣が現存し、ユダヤ難民救済活動拠点として、歴史的跡地 となっています。この石垣には世界中から観光客が訪れ、歴史学習や人道支援の学びの場となっています。また、探究学習やSDGs(持続可能な開発目標)を学ぶ教材としても活用されています。
研修会は本校の併設校である神戸情報大学院大学の客員教授 石堂ゆみ先生から当時のホロコーストの様子、ユダヤ難民の歴史ついての講義からスタートしました。石堂先生はイスラエル政府公認のヤドバシェム公式ガイドで、イスラエル・ユダヤ人と関わって30年。イスラエルに計14年在住した経験をもつジャーナリストです。
ユダヤ人の生の声を伝える石堂先生の講義を生徒の皆さんはとても真剣な表情で聴いていました。
その後は神戸ユダヤ共同体(神戸ジューコム)の残された建物の石垣を見学しました。現存する石垣を前に当時遠い異国の地で困窮していたユダヤ難民と、彼らを温かく迎えた日本の神戸の人たちとの交流に思いを馳せました。
そして学園本部の福岡美和先生より、神戸ジューコムについての講義です。
多くの歴史書は「杉浦千畝氏の命のビザによって国外に脱出したユダヤ難民は日本の敦賀にたどり着いた」という記述で終わっていますが、実はここ神戸の地で多くのユダヤ難民が神戸市民の支援を受け暮らしていたのです。
ユダヤの人々に食べ物や住居を提供した日本人、言葉が通じないにも関わらずユダヤ人の子どもたちと一緒に遊んだ地元の子どもたちなど、数々の人道支援の歴史を紹介しました。
多くの苦難を乗り越えたサバイバーの方々の紹介では涙を浮かべる方も。
講義のあとはワークショップとして、ワークシートの記入とディスカッションです。「もし皆さんの町に、大量の難民が押し寄せてきたらどうしますか?」などの問いかけに、熱心に周りの人と意見を交わしていました。
質疑応答ではたくさんの方に手を挙げていただき、皆さんの想いの強さにとても感心しました。
最後は生徒代表の方から感想と感謝の言葉をいただき、研修会は終了いたしました。
この模様は地元テレビ局「サンテレビ」のニュースでも取り上げられました。
神戸ユダヤ共同体跡地 香川県の高校生が見学(サンテレビニュースチャンネル) – YouTube
参加された生徒の皆さんはこれからも杉原千畝氏とユダヤ難民に関する研究を続けられるとのことです。今回学ばれたことを今後の探究活動に活かしていただければと思います。
高松高校・高松工芸高校の皆さん、雨の中ご参加いただき、ありがとうございました。
人道支援の地 神戸ユダヤ共同体(神戸ジューコム)跡地には、案内板も設置されております。ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。
また同様の研修会をご要望の高校様はお気軽にお問い合わせください。