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【中国・深セン】山寨(模倣品・ニセモノ)の聖地?絵画の村「大芬(ダーフェン)」へ(出張レポート番外編)

【中国・深セン】山寨(模倣品・ニセモノ)の聖地?絵画の村「大芬(ダーフェン)」へ(出張レポート番外編)

※この記事は、神戸電子ブログで2017年09月01日に掲載されたものを転載・加筆しています。※

少し前にはなりますが、3月(2017年3月)に、福岡校長、ゲームソフト分野の白石先生、情報工学科の森崎先生と一緒に中国の深セン(深圳)へ出張へ行きました。

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今回、電気街から少し離れた「大芬(Dàfēn)」を私たちは訪れました。

ここは、絵画の村と言われる村です。私はこの街の風景を見て衝撃を受けました。

詳しくない私にも解る有名な絵画がずらり。

中国には「山寨(shānzhài)」という文化があります。山寨とは「模倣品・ニセモノ」を意味する言葉のようです。

果たして大芬は山寨の聖地だったのか?振り返ってみたいと思います。

絵画の村「大芬(ダーフェン)」

深センの中心地、電気街のある「华强北」駅から地下鉄で約50分。今回訪れた「大芬」があります。
ここは絵画の村と言われています。

通りへ入ると右も左も前も後ろも、全方位画廊です。これはすごい。

試しにお店の中へ入ってみました。

おぉ…あれ?どこかで見たことがある絵。

え?本物?

実は、この絵画の村にある絵のほとんどが複製画です。

「ここでもやっぱりコピーか…。まったく中国って国は…」

なんて、人によっては思うかもしれません。

しかし調べていくと、どうやらコピーばかりではなさそうです。

知的財産権を侵害していないか取り締まるスタッフがいる

驚いたことに、世界中に存在する複製画の6割はこの大芬で作られたものとのこと。

当然、作者の死後50年経っていない画家の複製を行って販売すれば、著作権の侵害で国際的に罰せられます。せっかくの商品達も「中国は違法コピーの国」という印象がつくと買われなくなってしまいます。

そこでこの村では、絵画が知的財産権を侵害していないか、取り締まるスタッフがいるようです。

さらに、ここで絵を描いている人達は、本物と偽って販売しないよう、元の作者のサインは描かないとのこと。

すべて合法だったんですね。

若者達がしのぎを削る大芬のシステム
元は田んぼしかない村だった

この大芬も、深センの電気街と同じく、元々は周りに田んぼしかない200人程度の村だったようです。

しかし、現在では10,000人を超える人口なんだとか。

技術を身につけるために、若者達が中国全土から集まってきたそうです。複製画と言っても、当然技術が必要ですよね。

【写真】この人はスマホに元の絵を映しながら描いています。

この街には本物と見分けがつかない複製画を描ける人がたくさんいて、競い合うことでまた質が上がるようです。

そんな大芬で面白いと思ったシステムがありました。

「画家」を目指す人達

この村では、複製画を描く人の事を「画工」と言い、オリジナルの作品を描く人の事を「画家」と言うそうです。

実は、この街では「画家」を目指している人もいます。

「画家」になるにはルールがあります。

それが、「オリジナル作品で深セン市の公募展に3回入賞しなければならない」というもの。

大芬には限られた画家が住める家賃補助付きの高級マンションも用意されているとのこと。

複製画で技術を磨き、行く行くは「画家」としてオリジナル作品を売っていくことが若者達の夢のようです。

大芬は山寨(模倣品・ニセモノ)の聖地?

まず、山寨(shānzhài)という言葉の定義から考えないといけません。

山寨とは「模倣品・ニセモノ」を意味する言葉のようです。

私は、はじめブランド品のニセモノをイメージしていました。エルメスとかグッチとか、高級ブランドのロゴをつけて、高い値段で買わせるというイメージです。

しかし、Wikipediaで調べてみるとこんな言葉も出てきました。

エリート階層が主導するイノベーションではなく、草の根が主導する模倣の積み重ねによるイノベーションを「山寨精神」と呼ぶ。

単なるコピーは「盗版」(日本語でいう海賊版)と呼ばれ、イノベーションを感じる「山寨」とは区別されている。

Wikipediaより:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E5%AF%A8

以前、電気街を紹介した際にもこう書きました。

街で揃う豊富なパーツと技術で、様々なニセモノを作るうち、ついには本物を超える製品を生み出す事ができるようになったというのが、深センの街の強みのようなのです。

この大芬は、複製品を描きながら技術を身につけ、オリジナル作品で勝負する画家を育てていると言う点が、間違いなく山寨精神だと思いました。
この村は山寨の聖地と言えそうです。

中国を侮れないと思う理由が解った

中国を侮ってはいけない!と電気街でも村でも、肌で感じました。

それは、自分たちが本当の意味でイノベーションを起こせるようなものを作るまで、手段を選ばないところです。死に物狂いというか。

この街にある複製品は私のような素人には本物と見分けがつきません。世界で6割のシェアを占めているのであれば、世界的に見てもそうなのでしょう。

私が受けた衝撃は「こんだけ上手かったらなんでもできるやん」というものでした。

昔、私がグラフィックデザイナーになりたての頃、「手っ取り早く上手くなるには、まずはプロの作ったものを真似なさい」と上司から言われたことを思い出しました。

深セン、中国全体の動きは非常にスピーディーに感じます。
次は何が出てくるのか、今後も目が離せません。

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